『創世記』関連でいただいたおたより
このライトノベルがすごい! というサイトに『創世記』という神をも畏れぬコラムを掲載しております。そちら関連でちょうだいしたメールのうち、とても有難かったもの、嬉しかったものなど、おたよりをくださったかたにご許可をおねがいして掲載させていただいたのがこちらです。
 
5月16日luitomoさまからのおたより

 はじめまして、久美沙織様。luitomoと申します。
 コラム「創世記」を読みました。そして、どうしても、意見を言いたくなったので、メールさせていただきます。
 感想スレッドの方に書き込もうかとも思いましたが、どちらかというと“文句”に近い内容ですので、(感想目的のスレッドに書き込むのはやめて)メールを送ることにしました。

 意見を言いたくなったのは、第十二回の、「蒲生邸事件」のことについて、なのです、が。
 本題に入る前に。あらかじめ断っておきます。
 私は、“作家・久美沙織”のことが好きです。
 小学生の頃に「精霊ルビス伝説」をよみました。途中でやめることが出来なくて、真夜中まで読みつづけ、最後まで読んでしまいました。「ヤベヤベさんかっこえー! ディアルトさんかっちょえー!」と心の中で何度叫んだことか。
 その後、「小説ドラゴンクエスト」の4と5も読みました。4では、小説の中の声が実際に聞こえる(!)という体験をしました。5は何度も読み返しまして、一部は暗誦できそうです、ハイ。スミスが、「ふ、ふたりぶん嬉しい!」って喜ぶところとか。

 ですから。ただ“単に文句が言いたいがために”このメールを送るのではない、です。
 どちらかというと、“自分の好きな作家さんに、自分が認めているものを同じように認めてほしいから”このメールを書いています。
 どちらにしても身勝手ですね。でも、できれば、「こんな意見もある」という風に受け取っていただければ嬉しいです。

 本題。宮部みゆきさんの「蒲生邸事件」のことについて。
 私、「創世記」の第十二回の、ある部分を読みながら「いやそれは違うでしょー?!」と叫びました(心の中で)。
 この部分です。

>第二に、彼が、ババアの彼女にあえなかったことにガッカリしているよりもむしろ若くて彼女にそっくりな孫がきてくれたことに喜んでいるようにしか見えなかったこと。

 自分の感性がおかしいのかと思って、母に「お母さん『蒲生邸事件』覚えてる? ラストでさ、主人公喜んでるように感じた?」と尋ねました。母の答えはNOでした。

 さらには本を持ってきて該当個所を読み返しました。
 あれは、絶対、喜んでないですよ! 戸惑ってますよ! ボーゼンとしてますよ!
 で、その後で、がっくりしてますよ! 遠い目ですよ絶対!
 あれを“喜んでいる”と受け取るのは、ちょっと、なんというか。もう、「違う!!!」と、叫んでしまうのです。

 たぶん、この受け取り方の差は、「結ばれてラブラブハッピーエンド」を期待していたかどうか、も関係しているのじゃないかな、と思います。
 私は、そういう終わり方は期待していませんでした……というかむしろ、想像もしませんでした。主人公は一度、「一緒に平成の世界に行こう、じゃなかったら僕がこっちに残る」ってふきさんに言って、で、拒否されてますよね。あれでもう、主人公はフラレたもんだとばっかり思っていたのです。
 母の意見は「ふきさんは主人公のこと、好きは好きなんだろうけど、割り切っているというか……別の世界の人、ということで納得している感じがしたな」というものでした。
 どちらにしろ、「平成の世で再び出会って結ばれてうんぬん」という結末は想定していないわけですね。だから孫娘が出てきても、そんなに衝撃は受けません。(ふきさんと主人公が二度と語り合えなかったのは、さびしかったですけどね……)
 でも、「結ばれるべきだ」と思って読んでいる方は、孫娘が登場した、その時点で裏切られたような気持ちになってしまうのだろうな、と。そう思いました。

 それと。
 そういう……“愛”の結末を想像するには、ちょっとタカユキさんとか平田さんとかの男性陣が出張りすぎだと思うのです、後半の展開。“まがいものの神”とか、あの辺りの話ですね。私は、「蒲生邸事件」のメインはそっちの方だと思って読んでいたのです。ふきさんはむしろおまけ。メインは平田さん。(と、黒井の手で運命が変わった蒲生大将とその家族。)
 だから、ラストで「時を越えて結ばれた愛!」とかやられたら、私はかえって拍子抜けしてしまっただろうな、と思うのです。

 ここまで、自分の思ったこと、久美様に伝えたいこと、を書いてきましたが。
 小説の受け取り方というのは感性の問題ですから。何を書いても無駄なのかもしれません。
 でもやっぱり、自分の好きな小説を書いている人が、自分と全然違う考え方をしている、というのは悲しいです。本当に自分勝手ですけれど。でもやっぱり、分かって欲しい、と思ってしまうのです。
 なんだか、うまくまとまりません。ごめんなさい。もうやめます。
 最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

久美のお返事

 こんにちは。メールをありがとうございます。
 おっしゃりにくいことを、おっしゃっていただいたことに、まず感謝いたします。
 
 イヤ、なにしろ、わたしはあまりのショックに、あの本には二度と手を触れておりませんので、まったくの「オボロゲな記憶」の「印象批評」なのでございます。

 ですから、もしかすると……ていうか、たぶん、ハイ、認めます。事実は、「冷静に普通の感覚のかた」が読むと、戸井さまや戸井さまのお母上さまが読まれるように読まれるのでしょう。
 SF菌に異常に感染したわたしのような極少数の「ビョーキ」持ちだけが、「強いアレルギー反応」を起こし、たぶん、そこまで読んできた内容(とその感動)すら「ふっとんで」しまった、のではないかと思います。

というわけで、

「……なのにそんな無責任なことを言ったのかおまえはーっ!」
と、ちょーつっこまれそうなのを覚悟で申しますが、
問題は典型的な「SFガジェット」が出てきた場合、わたしが物語の重心をどうみてしまうかだったのではないか。

タイムスリップ

という、これ以上ないほど典型的な「SF伝家の宝刀」が設定として出てきた時点で、
他のかたはどうであるか、多くのかたがどうであるかはともあれ、
「このわたし」は、
きっぱり「タイムスリップもの」として読んでしまった。
だから、「時空に隔てられた恋人たち」の運命が、他のなにをおいても一番大切になっちゃったんですね。
そこで、強い違和感を感じてしまって、他が全部白紙になってしまった。

 わたしは「どんなSFでもSFならそれだけでモンクなしにひれ伏したいほど好き」なヘンタイなんだと思います。
 正直いって、ミステリとか、恋愛小説とか、歴史小説とか、官能小説とか、そういったさまざまなほかのジャンルには、特にそーゆー激しく抑え難いキモチは持っておりません。
 ファンタジーには、ちょびっとあるかな。「正調」本格ファンタジーには、ちょっとヨワイ。
 他は、読んでおもしろいものはおもしろい、イマイチそうでないものはそうでない。それだけ。「ある条件をみたしているかどうか」へのコダワリとか、ないです。
 たとえば、ミステリ界でも、「本格」かどうか、という点にものすごく強いコダワリやら信仰やらを持っておられるようなひとがありますから、これはもう、ひとそれぞれでしょう。

 なぜかわかんないけど、「SF」は、わたしにとって、主観的に選び取って消費したり利用したりするものではありえない。そんなこと考えるのも畏れ多いほど、神聖おかすべからざるものなんですね。だから、誰かがそーゆーことしているのをみると、「ウッ」ってなってしまう。
 たぶん、SF信者なんですよ。

 でも、これは、圧倒的にマイナー。
 「多数決」でいったら「負け」にはいるほうの少数派です。

 宮部さんは、たぶんとっても誠実に、真剣に、あのお作品を書かれたのだろうと思います。
 ミステリとして、あるいは、正確な時代考証がなされた歴史小説(つまり伝奇ファンタジー系ではないもの)として読み、タイムスリップはあくまで「工夫のひとつ」あるいは「ちょっとした逸脱」だったのではないでしょうか。いや、なんだかんだ細かく分類するのは無意味なのであって、エンターテインメント小説として、よみものとして、ほんとうに素晴らしい水準でお書きになったのだし、スナオにそのように読み、そのように捕えるのが、正しい。たぶん、SFモンではない大多数のかたはそうなさるでしょう。

 でも、ひねくれたSFモンの目から見ると(あくまでビョーキの、特殊な反応をしてしまうやつの目から見ると)それは、タイムスリップという、わたし(たち)にとって、ものすごくものすごく神聖で大切なものを、とっても無造作に、安易に、あるいは乱暴に、そして商売本位に(ミステリや歴史を主眼として語るのための単なる部品や材料のひとつとして)、使われてしまったもののように見えた。

 ふつうの日本人の目にはただのミミズののたくったのにしか見えないイスラーム文字で書かれたコーランを、イスラームのひとたちは「神聖」視しますよね?
 知らずにでもうっかり床におとして踏んづけたりされたら、怒りますよ。
「なんてことするんだ!」って、怒鳴ります。へたすると殴りかかります。
 それと同じ。

「なに」をダイジに思うかは、ひとそれぞれ。
 他人のそれは、なんでそんなにダイジなのかわからない、つまんないものにしか見えないかもしれない。
 ただ、わたくしめはカリソメにも「小説の送り手」でもあるわけですから、受け取り手のかたがたがどう感じるかについて、「しらねーよ」などとは言ってられません。
 よく心得て理解し、できることなら、そちらに歩み寄る「べき」なのです。
 じゃないと、本が売れなくて、セイカツできなくなりますから。
 で、わかることはわかるんです。理解はできます。頭では。まちがいなくそっちが普通です。
 そしてそっちのほうが商売的にも遊離です。

 ただ、より強く激しく感じてしまうことに、どうしても抵抗できないのです。

 長々といいわけかいちゃいましたが、なにかは伝わったかなぁ……。

 お母上さまにもどうぞよろしくお伝えくださいませ。
 luitomoさまと、お母上さまと、読書ずきなご家族のみなさまがたに、これからもステキなことがたくさんたくさんありますように!

くみ

5月30日、uitomoさまからの再メール

 こんにちは、久美様。丁寧なお返事、ありがとうございます。
 返信が遅れまして申し訳ありません。2週間分、じっくり、たっぷり、考えました。
 
 それで、ですね。
 お返事を頂いてから……というよりもむしろ、最初にコラムの第十二回を読んでから、ずっと感じていた違和感がありまして。それについてずっと考えていました。まだちょっとうまくまとまらないんですが、どこがポイントなのかは分かりました(あるいは、分かったつもりです)。
 久美様の「蒲生邸事件」についての意見は、『タイムスリップという、SFのガジェットについて、ちゃんと考えずに適当に使ってしまった作品』ということですよね?
 でも私は、「蒲生邸事件」は、『タイムスリップというものに対して、真摯に向き合い、(SF的な視点ではないけれど)宮部さんなりの答えを出して、その答えを中心に書き上げた作品』だと感じたのです。
 この違いが、私の中で、『違和感』となった。
 何が違うと、ここまで正反対な意見になってしまうのか。そのポイントは、きっと全部、前回いただいたお返事の中の、この段落にあると思います。

>タイムスリップという、これ以上ないほど典型的な「SF伝家の宝刀」が設定として出てきた時点で、他のかたはどうであるか、多くのかたがどうであるかはともあれ、「このわたし」は、きっぱり「タイムスリップもの」として読んでしまった。だから、「時空に隔てられた恋人たち」の運命が、他のなにをおいても一番大切になっちゃったんですね。そこで、強い違和感を感じてしまって、他が全部白紙になってしまった。

とお書きになりましたよね。
 この段落。この中の、

>きっぱり「タイムスリップもの」として読んでしまった。

から、

>だから、「時空に隔てられた恋人たち」の運命が、他のなにをおいても一番大切になっちゃったんですね。

この文へのつながり。この順接、この『だから』が、私には理解できなかったのです。三段論法のまんなかの部分が抜けてる感じがするのです。 きっと、久美様にとっては、わざわざ書くまでもないアタリマエのことなのでしょうけれど。
『タイムスリップものには、「時空に隔てられた恋人たち」という要素が必要不可欠である』 こういう前提があるのでしょう。これが入れば、

>きっぱり「タイムスリップもの」として読んでしまった。
『タイムスリップものには、「時空に隔てられた恋人たち」という要素が必要不可欠である。』
>だから、「時空に隔てられた恋人たち」の運命が、他のなにをおいても一番大切になっちゃったんですね。

 私にも理解できます。三段論法、成立です。
 そして、久美様が「蒲生邸事件」に対して『怒りの涙に暮れ』た理由も、納得できるのです。「(私は違うけれど)そういう前提がある人ならば、そういう感想をいだくのだろうなあ」と。

 私、このことに……久美様の中には、私にはない前提がある、ということに思い至ったとき、それまで感じていた違和感(ちょっと変な表現ですが)が急にスッキリしてしまいました。
 自分の好きな小説を書いている人が自分と全然違う考え方をしている、というのは悲しいです。特に、具体的にどこが違うのか分からない、または『具体的にどこが』と言えないほど違いすぎる、というのは。
 それが今回、久美様の考え方・感じ方の、『具体的にどこが』私と違うのか、は分かった、と思うのです。
 こうやってメールを出して、お返事をいただけて、本当によかったと思います。ありがとうございました。

久美のお返事

luitomoさまさま

お返事ありがとうございます。気になってました!
余計に怒らせてしまったのかなぁ……と思っていたら、二週間ずっと考えていてくださったんですね……どうもありがとうございます!
余計な心労をおかけしてしまってすみません。

三段論法のところ、わかりにくくてすみませんでした。

「時空を隔てて再会するふたり、という、とびきり美味しいネタがあるのに、なぜせっかくのそれをもっと前面に押し出さないんだろう? もったいなさすぎる!」と感じてしまった、といったほうが良かったなといまでは思っています。

たとえば、どっか外国の南の島にいって、すてきなホテルでディナーをとることになった。
すっごく美味しいお魚が、バーベキューされたかなんかして出てきたとする。

そこで日本人はともすると「ああっ、いま、ここに、白いゴハンとワサビとおしょうゆがあればいいのに!」と、つい思ってしまったりする(ちなみにこれは一般的にそうだろう、というハナシで、実はこのわたしは本人はゴハンもおしょうゆも日本にいてすらなくて平気なほうで、むしろ異国にきたからにはエスニック系な味付を楽しみたいほうなのですが)

そこで、わざわざ異国にきてるんだから異国の料理をそのまま黙っていただいていればいいものを、
「あーあ、ごはんとおしょうゆがあればなぁ……ねー、そう思わない?」
と、大声でいってしまった。

luitomoさまのおっしゃる、『タイムスリップという、SFのガジェットについて、ちゃんと考えずに適当に使ってしまった作品』 みたいな、偏屈な断定ですね。

もともと「白いごはんやおしょうゆになんら愛着のないひと」からみれば、そんなことで不満に思われても不愉快、心外なのに違いないし、
「だったらアンタ、ずーっと日本にいればいいでしょ。せっかく旅行にきたんだもの、旅先でしか食べられないゴハンをみんな楽しんでるのに、雰囲気こわさないでよ! ソレはソレとして、楽しみなさいよ!」といわれても、いやホンマ、しかたがない。

だから
『タイムスリップというものに対して、真摯に向き合い、(SF的な視点ではないけれど)宮部さんなりの答えを出して、その答えを中心に書き上げた作品』 ……さっきの例で言えば、ホテル側としては、自分とこのシェフの自信の料理であり、材料を生かすべく最大限の工夫をして、よかれと思って、ちゃんと美味しいバーベキューを用意してくれているのに……、

文句言うなんて、おとなげないわね、第一、ホテルに失礼よ!

でしたね。

ほんまに反省しています。
『創世記』スレッドを見ていただけばわかるように、この件に関しては、全面的にわたしが短慮でバカだった、間違っていた、と既に陳謝しております。

でも、luitomoさまから、直接、再メールをいただいて嬉しかったです。
ではでは、また、もしご縁がありましたら。

くみさおり

 

5月29日 YUMIさまのメール

久美様

どうしてもこの感動!をお伝えすべく、また応援したく、はじめてメール致します。
昨日の朝、このライトノベルがすごい!付属掲示板に書き込みさせていただいた、
47 番のYUMIと申します。

53番でのレス、ありがとうございました。とっても嬉しかったです。

今日は15回目の追記を読みました。
私にはとても納得できて、久美様のいう「ひどい言訳」になど見えません。

私は「創世記」を内輪のおしゃべり、本音を聞けちゃうところと思い、
久美様の友達になったような気分で読んでいました。
毎日次の回はまだかなぁと見に行って、まだだったら何度でも前の回を読み返して
にこにこしたり、それはどうかな?と疑問を持ったり、ちがうだろ〜とつっこんだり、
わかる!そうそう!すごいなぁ〜と共感したり。

ひとつひとつあげて、ここで爆笑!しましたとか、箇条書きしたいくらい。

久美様の「個人メールの延長のようなもの」だからこその、言いっぷりが爽快で、
極端に言ってしまうと、細かい中身や整合性などよりも、そのときどきの勢いや全体
の雰囲気に浸ることが一番楽しかったりしました。
すっごく俗っぽいですが、おいおい、そんなことまで言っちゃっていいのかい?とい
うようなことこそ、読んでいて得しちゃったなぁ〜と思ってしまいますし。

なんでこんなに楽しいんだろう?と考えていたんですが
なるほど楽しくてあたりまえで「おふたりのみを仮想読者として、彼らにウケたい一
心でコラムを書いてしまっておりました。」と、ウケようとしていらしたんですもの。
はい、もちろんウケました!
私など走り回り、飛び上がり、舞い踊るほどに大喜び!しています。
この久美様のサービス精神がすべてを貫いているのかも。

全体を通して感じるのは仕事への愛あふるる姿勢。お見事でみとれてしまうんです。
こんな素敵なおねえさんがいるんだなと、同じ女性として、仕事をしていく上で勇気
をもらえました。仕事の上でもサービス精神って大切だと思うし。

でも、なによりも、久美様の個性が伝わってきて
なんっっていいひとなんだろう!!!と感動せずにはいられないこと。
15回にわたる文量に、丁寧な掲示板の書き込みに、おのずとあらわれてしまうんでしょ
うね。人として、とても素敵です。

有名なひとがネット上でなにかを発言するのは、とても体力のいることだと思います。
プラス方向にもマイナス方向にも様々な反応があって
全方角、360度からそれはやってくるので、重くなって受け止めきれないことも
多いかと思います。
そんなときですら、約束を守ろう、誠実であろうとして、アップロードしてくださっ
たことに、感動しています。

久美様はどうぞそのままでいてください。
勘違い・早合点にそんなにしょげないでください。
指摘されても、柔軟に対応されている文を読むとまた
なんていさぎよくて、あたまのやわらかいひとなんだろう!!!
かっこいい!!!と思わずにはいられません。

いろいろと考える問題提起をしてくださって、ありがたいと思っています。
そのひとつに、実は私は読者でありながら、今回はじめて“ライトノベル”という言
葉を知り、カテゴリーの総称について、はじめてじっくり考えています。
他にも自分にあてはめて、いろんなことを見つめ直したりもしています。
このコラムのおかげで、豊かな気持ちになれています。

久美様、どうぞしょげないでください。
なにも応答のない閲覧者の中にも、私と同じように感じているひとは
たくさんいると思います。
走り回り、飛び上がり、舞い踊るほどに大喜びして、
楽しみに読んでいるひとがいると思います。
間違いなく私はその中のひとりです。

最後に。
久美様、頚部椎間板ヘルニアの具合が心配です。
どうぞあまり無理せず、お大事になさってください。

メール、すっかり長くなってしまってごめんなさい。

リアルタイムで巡り会えたことに、とても幸せを感じています。
感謝をこめて。心からのエールを。


YUMI freelance graphic designer


久美のお返事

Yumi さま

うわー、愛あふれたメールをありがとうございました!

こちらこそ、先日のスレッドへのカキコミに「ああ、こんなふうにく読んでくだ
さっているかたもあるんだあ」と大喜びしていたんですが、ダメですねぇ、どう
しても、「ありがとう」というコトバのほうは短くなってしまって、「いいわ
け」のほうが長くなってしまう。

この間から、スレッドのほうに、なんどか「削除しました」が出てますでしょ?

あれは、どうも、わたしの目にはぜったいに見せてはいけないと酒井くんが判断
してくれたものらしいんですね(彼っていうのも、ほんとうに若いのによくデキ
たやつで……)。
そんなふうに気をつかってもらってとってもとっても嬉しかったんだけど、バカ
ですねぇ、そんなにコワイなにが書いてあったんだろう? と思ってしまったも
んですから、

よせばいいのにこないだグーグルでちょっと検索をしてみちゃったりしました。

すると、まぁ、出てくるわけです。ひとさまの日記サイトとかに。いろいろと。
辛辣なご意見とか、冷笑っぽいのとか。

なので
「あああ、あまり調子にのっちゃあいけない。こっちにそのつもりがなくても、
もしかするとどこかで傷ついたりガッカリしたりするひとが出そうなものは書い
ちゃいけない……ううう」
などと思っていました。
(いちおう、個人名を出して話題にしている場合で、これは本人にちゃんと確認
したほうがいいなと思うものを書いたときには、こんなこと書いてこういうとこ
に発表してもいい? といちいちコマメに聞いているつもりなのですが、それも
時々うっかりモレます)

なので、
このたびのYUMIさまのメールは、とってもとっても有難く嬉しいものでした!
スットコドッコイなわたしは、いきなり開き直った気分になりました(笑)


>そのときどきの勢いや全体の雰囲気に浸ることが一番楽しかったりしました。
>すっごく俗っぽいですが、おいおい、そんなことまで言っちゃっていいのかい?というようなことこそ、読んでいて得しちゃったなぁ〜と思ってしまいますし。
>

そういっていただけると、バカやっている甲斐があります!


>勘違い・早合点にそんなにしょげないでください。
>

ううう、はい。
確かにショゲるんですが、どんなにショゲても、やっちゃうもんはやっちゃうん
ですよねぇ。
やるまいとすると、なにもできなくなっちゃうというか。


>指摘されても、柔軟に対応されている文を読むとまた
>なんていさぎよくて、あたまのやわらかいひとなんだろう
>

ちゃははは……いやそれは買いかぶりです。

マチガイはスナオに認め、素早くゴメンナサイをいって訂正するのが、いちばん
みっともなくないし、被害もそれ以上拡大しない、ということを、身を持ってタ
イケンし、思い知ってしまってきたから、こうなってるだけです。

いろんなところで喋ったり書いたりしてきた話なので、もしかしたら「その話な
ら聞いたことあるよ」かもしれませんが、嬉しいメールをいただいたお礼? 
に、しつこく申しますと、
それはわたしには「恐怖のおめでた事件」としてココロにしみついております。

とある動物病院の先生から聞いた話。
とある日の夜、電話がかかってきた。昼間そちらでシャンプーしていただいたう
ちのコがなんだか様子がおかしい。片目が真っ赤で、痛がっているみたいだ。時
間外で申し訳ないが、診察してもらえないだろうか。
いいですよー、と応えて、さっそくつれてきてもらったシーズーをよく見ると、
眼窩に毛がまきこまれている。
ははあ、と思った先生は、飼い主さんにちょっと外に出ておいてもらって、すば
やくそのメンタマを「いったんはずし」、よく消毒し、毛をきれいに整えなおし
て、もういっかいハメた。正しい位置に。
幸い、ワンコは元気で、メダマもブジだった。
翌日、そのシーズーのシャンプーを担当したアハト(動物病院のお手伝い……看護
婦さんみたいなひとたちのこと。アニマル・ヘルス・テクニシャンだかなんだか
の頭文字を略して「AHT」という)のひとを、
ちょっと個室に呼んで、
「怒らないから、ほんとうのことを言ってください。なにがあったの?」
と聞くと、
アハトのひと、ごめんなさい! と叫んで、わぁわぁ泣き出した。
泣きじゃくりながら言うのを聞くと、
実は、シャンプーしていて、フト気づいたら、メンタマがハズレてぶらぶらして
いた!
あまりのことに動転して、なかば気絶してしまって、気がついたら、必死にハメ
てしまっていた。
(あわてて、やったこともないひとがヘタクソにハメたから、目のまわりの毛を
まきこんでしまったんですね)

この場面を想像すると、そのアハトのひとには悪いですが、笑えますよねー。
シャンプー台の上に、いちいち病院でシャンプーしてもらうほど可愛がられてい
るシーズー。
泡だらけで、片目が、ブラブラ。
シャワーヘッドかなんか握ったまま、壁に背中をつけて硬直している、両手が泡
だらけのアハトさん。
そら怖い。ムッチャ怖い。目の前の光景を信じたくないだろう。否定したいだろう。
とっても気の毒だ。
でも、おかしい。

で、その話をきいた動物病院の先生は、
うんうん、よくわかった、と優しくおっしゃった。
シーズーみたいなツブレ顔のわんこの目はわりと簡単にはずれるんだよ。
きみが、気持ちいいよう、いっしょうけんめいがんばってシャンプーしてあげた
もんだから、不幸にも、押しちゃいけないとこをうっかり押して、はずしてし
まったんだね。
でもね、
今度もしか何かそういうことがあったら、
「だれかきてー! なんとかしてー!」
って、すぐに言ってくださいね。
ぼくら医者がそばにいるんだし。
あのコは幸い、大丈夫だったけれど、メンタマのいれかたが偶然もっと悲惨だっ
たら、失明しちゃったかもしれないし、細菌感染とかしたかもしれない、もっと
すごく怖いことになったかもしれないんだからね、と。

この話を聞いて以来、
「悪気はないのに押してはいけないところを押してしまった」
「思ってもいない事態に遭遇してしまった」
みたいな時には、
「おー、へるぷ! 手におえないー! たすけてー!」
と、もう咄嗟に素早く大声で言うことにしたんです、わたしは(笑)。

世の中あんがい捨てたもんじゃなくて、ほとんどのひとは「たすけてー!」とい
う声が聞こえると、「なんだ? どうした?」って見にきてくれて、できること
なら気前よくたすけてくれるし、そのひとにもダメなものだったら、もっと専門
家のひとを探してくれるとか、なんか事態を収拾する方向の援助をくれるもんな
んですね。

人間、パニックすると、つい、そーゆー「あって欲しくなかったこと」って、
「なかったことにしたく」なっちゃいますからねー。
メダマのハメかたなんか知らないのに、不器用にムリヤリ、ハメてしまったりする。
それなりにハマッて、一見、なかったことにできそうな気がするから、誰にも報
告しないで、そのままひそかに自分の胸にしまってしまう。
でも、あわてていたし、やったことないもんだから、毛をまきこんでしまって
て、可愛そうなワンコは余計に痛い思いをしてしまった。
しかも、あとあと、しっかりバレてしまった。

うっかりメンタマ出しちゃったのは偶然。不幸な事故。
でも、それを隠そうとして余計な画策をしたら、これはもうきっぱり意識的に
やっているわけで、実はそっちのほうには、本人に重大な責任がある。

それでも、その病院の先生は、立派なかただったから、怒ったりののしったりし
なかった。
ちゃんと「きみの気持ちはわかる。ムリもない。でも、ぼくは、そういうことで
はぜったいに怒ったりしないヤツだから、今度からは隠さずなんでも正直にいっ
てね」っておっしゃってあげた。
そのほうが、後々のためなんですよね。

ドジはいつ誰がやるかわからないですけど、意識的にドジを隠したがる、という
気持ちは、修正できるから。
アハトが、先生を深く信頼して、どんなドジでもみっともないことでもいつでも
すぐに正直に告白できるなら、早めに対処できるし、できもしないことをゴマカ
したせいで犬猫が余計に苦しんだりしなくてすみますから。

この話を聞いて、いやーこりゃあ、すごい大事なことだなぁ、としみじみ感じま
して。

できるなら、もしそういうほうの立場になったら、その先生みたいにきちんと冷
静に振舞えるひとになりたいなぁ、思ったし、
ドジでうっかりやっちゃってヤバイと思ったら(←こっちのほうがどうしても多
いのですが)とにかくもう発見ししだい「タスケテー!」と言おう、と。

「ごめんなさい」は早く言えばいうほど良いと。

単にそういうことなんです(笑)。

おかげさまでおちゅーしゃをしてもらってきて、肩とかウデとかは調子いいです。
次のシメキリ……わたしは6月末だとばっかり思っていたら、7月末だったというハ
ナシが出てきて、いっきに気が楽になったりしてますが、まぁ、早めにはじめる
にこしたことはないな。

『創世記』のアップロード完了がいつになるか、スレッドのほうが完了後どうな
るか、わたくしめにもわかりませんが、
拙サイトのほうはとりあえず、しばらくはやめるつもりはないので、よかったら
時々のぞきにきてやってください。BBSはありませんが、日記にはレスがつけら
れます。

ほんとうに嬉しいメールをありがとうございました!

YUMIさまのようなかたにめぐり合えると、『創世記』やっててよかったなぁ、と
思いますです。

ではでは、また。

くみ

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